Manji’s diary

アラフォー卍が伝えたいこと

アルツハイマー病と向き合う


超高齢社会の日本における認知症の現状

我が国は世界でも有数の長寿国です。超高齢社会と称される社会となっています。厚生労働省認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」によると、2012年時点の認知症患者は約462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人とされていました。さらに様々なデータに基づき推計を行ったところ2025年にはその数は約700万人、65歳以上の5人に1人が認知症になると予測がたてられています。そして、この認知症の原因疾患の7割を占めるのがアルツハイマー病です。このアルツハイマー病の克服は大きな社会問題であるといえます。

 

 

アルツハイマー病の病態

アルツハイマー病は異常なたんぱく質、「アミロイドβ」が脳にたまって、神経細胞を壊すことが原因と考えられています。この「アミロイドβ」はアルツハイマー病を発症する20年以上前からゆっくりと脳の中に溜まっていきます。さらに別のタンパク質である「タウ」も溜まります。結果として、アルツハイマー病患者の脳内で、神経の情報伝達に関わる物質である「アセチルコリン」が減っていき、記憶力の衰えがみられるようになり脳も委縮していきます。これがアルツハイマー病の病態の本質と考えられています。
現在使われているアルツハイマー病の治療薬は、症状がある程度進んだ方に対する薬物です。残った神経細胞を活性化させるなどして症状の悪化を数年程度遅らせるもので、病気によって脳の神経細胞が壊れていくこと自体を止めることはできませんでした。

 

 

新薬『アデュカヌマブ』の開発

この薬剤は「アミロイドβ」に対する抗体です。脳まで届いた薬は、異常なたんぱく質アミロイドβ」を取り除き、神経細胞が壊れるのを防ぐことでアルツハイマー病が進行するのを抑える効果があると期待されているのです。長年の開発研究に改良が加えられ、昨年、次世代治療薬として「アデュカヌマブ」が初めて承認されたわけです。

迅速承認された「アデュカヌマブ」だが現在は批判を集めている。アデュカヌマブの投与でアミロイドプラークの低下は見られたものの、これが病気の進行を遅延させるという証拠はいまだ示されていないというのだ。

認知症の新薬開発には、まだまだ時間を要するようである。

 

 

治療の開始時期

どの時期にアルツハイマー病の治療を開始すればいいのかという点ですが、これまでの薬剤は、認知症の診断を受けてから治療が開始されるのですが、この段階ではすでに神経細胞の働きが悪くなり脳が委縮し始めている段階です。そこで重要になってくるのが、認知症の段階まで進行していない。いわゆる前段階の状態です。

 

 

認知症の前段階?!

それは、自分だけが物忘れに気づいているものの、それ以外には何も問題がない場合や物忘れが軽いが少しずつミスが周囲からも気づかれるものの、日常生活には支障をきたさない段階が挙げられます。このような2つの状態の時には、医学的に様々な検査をしても認知症の時ほど明確な異常所見は見られないため、外来でも経過観察とされることが多いです。つまり、神経細胞のダメージがそれほどひどくなっていないものの、「アミロイドβ」は脳内に溜まりつつある段階といえますので、できるだけ早い段階で治療は始める必要があるといえると思います。そして、この段階では、治療薬だけでなく様々な予防策をとって、認知症レベルに至ることを遅らすことが重要であると言われるようになりました。
また、特にアルツハイマー病は慢性の疾患で徐々に進行していき、その途中で症状が明らかになるという長いスパンで考えるべきで、40代から50代の方々が対策を考えることがとても重要です。

 

 

認知症発症の危険因子と予防法

ではどういった予防策を取ればいいのでしょうか?そのためには、多くの疫病的研究から明らかにされた認知症の危険因子に注目すれば良いということになります。年齢や遺伝子プロファイルなどのアルツハイマー病の危険因子を制御することはできません。しかし科学者は、改善可能な様々な因子について研究しています。研究から、ある生活習慣因子、例えば栄養価の高い食事、運動、社会とのかかわり、および精神を活性化させる趣味などが、認知機能低下やアルツハイマー病のリスク低減に役立つかもしれないと示唆されています。科学者は、認知機能の低下と心疾患、高血圧、糖尿病、肥満との関連を検討しています。このような関連性を理解し、臨床試験の中で検証することにより、こちらの疾患の危険因子の低減がアルツハイマー病の解決にも同じくつながるかどうかが、明らかになっていくでしょう。