Manji’s diary

アラフォー卍が伝えたいこと

『ひきこもりの定義』見直しへ


NPO法人『KHJ全国ひきこもり家族会連合会』は5月12日(2022)、厚労省が示すひきこもりの定義を見直す提言を発表しました。

厚労省の定義は「原則6カ月以上、おおむね家庭にとどまり続けている状態」としていますが、この期間を撤廃し、「支援が必要とされる程度に生活上の困難を有している人」とするよう求めました。

 

今の社会では『8050問題』と言って、80代の親が50代のひきこもりの子どもの面倒みるといったことも問題化していますから、実態と定義にギャップがあるんだったら、そのギャップを埋めて、できるだけ現実に近づけるというのが理にかなっていると思います。「まだ5ヶ月と3週間だから、ひきこもりじゃないね」と解釈されて、支援が届かなくなってしまったり、そうこうしているうちに状況が悪化したりしてしまうこともありますから、いい判断ではないだろうか。

 

 

ひきこもりの実態を把握しようということか

家族連合会の境副理事長は記者会見で、「期間にとらわれずに支援の必要性を見極めるべきだ」と訴えた。まず、内閣府の『ひきこもりの定義』を確認しておくと、教育とか労働、家庭の外での交遊といった社会的な参加を避けて、原則的に6ヶ月以上にわたって おおむね家庭にとどまり続けている状態を指します。ただ、この“おおむね”というのがミソで、定義上は、ひきこもりであっても、実際には、コンビニとか趣味の用事とかで「ちょっとそこまで出掛けるよ」という人はたくさんいます。

 

国の調査で、45歳以上のひきこもりの推計値はおよそ61万人。このなかには、『普段は家にいるけど趣味の用事の時だけ外出する』が25万人、『近所のコンビニなどには出掛ける』が27万人含まれている。ドラマとかの印象で『部屋から一歩も出ない』『家から出ない』というイメージをしがちですが、そういう人は推計9万人ぐらいです。ますます「原則6カ月以上、おおむね家庭にとどまり続けている状態」という厚労省の定義と実態との間にズレを感じます。

 

 

我々の認識や先入観は、実態はズレている!?

意外というと、こういうデータもあります。『普段自宅でよくしていること』という質問に『インターネット』と答えた方の割合は、ひきこもりの人がおよそ30%に対して、それ以外の人は43%と、ひきこもりの人の方が少ないことがわかる。
さらに、『ゲームをする』という回答は、ひきこもりの人が15%、それ以外が18%。通信手段についての質問でも、サイトの閲覧とか、チャット、メール、SNSTwitterなど、いずれもひきこもりの人 “以外” の方が多かった。
もしかしたら『ひきこもり=薄暗い部屋でパソコンに向かってネットとかゲームばかりしてる…』、キーボードをカタカタカタ……みたいなイメージがあるかもしれないが、ちょっとズレているようだ。社会と上手く繋がれない、コミュニケーションする相手がいないからこそ孤立しているわけで、むしろ、SNSとかネットに没頭する人も一般より少ないということなんです。なので、何かの事件がある度に、ひきこもりの人たちを『犯罪者予備軍』のように煽るのも間違ってますし、ひきこもりに関するイメージを刷新していく必要があるのかなと思います。

 

 

社会として『ひきこもりの問題』を解決していくためには何が必要か

まず知っておいてほしいのは、『引き出し屋』といって、ひきこもっている人の自立支援を名目に無理やり外に連れ出して、焦るご両親から多額のお金をとるような悪質業者がいるということです。強引に外に引っ張り出したとして、それは本来の解決ではなありません。不安心理につけ込んだビジネスに引っかからないようにしていただきたいなと思います。ひきこもりの方がいる家族や当事者の方は、まずは各地にある『ひきこもり地域支援センター』という相談窓口を頼っていただきたい。そして、私たち社会の側の寛容さも必要で、ひきこもりになる理由は、失業とか病気、不登校、人間関係の悩みなど、本当に誰にでも起こり得ることです。そして何より、ひきこもりの人たち自身が誰よりも「働きたい!」「なんとか外に出たい!」と願って苦しんでいるわけなので、そこに対して、「甘えでしょ!」とか「怠けてるだけだろ!!」と糾弾しても仕方がないと思います。

なかには、ひきこもりながら仕事をしている人たちもいます。『株式会社ウチらめっちゃ細かいんで』という変わった名前の会社があるんですけど、こちらは、ひきこもりの当事者たちが集まって、ホームページやアプリ制作などの事業に取り組んでいるようです。この『めちゃコマ』では、コロナ禍でリモートワークが広がる前から在宅勤務をしている。ある意味、“時代がやっとひきこもりに追いついた”みたいな状況になっているわけですよ。なので、こういうふうにひきこもりの方がスキル・力を発揮できるような、『めちゃコマ』のような会社がもっと増えて、ひきこもりながら働けるようなスタイルが広がっていくといいんじゃないかなとも思います。

今の時代、無理に人とコミュニケーションをとらなくてもできる仕事はたくさんありますから、その選択肢が広がるといいですね。