Manji’s diary

アラフォー卍が伝えたいこと

『資産所得倍増プラン』

 

岸田総理は5月5日、ロンドンの金融街ティーで講演し、自身が掲げる経済政策『新しい資本主義』の具体策として、日本の個人金融資産およそ2000兆円を”貯蓄”から”投資”へと誘導する『資産所得倍増プラン』を始めると表明しました。

 

『資産所得倍増プラン』とは何なのか

これは、岸田総理の『新しい資本主義』の中身のひとつになっています。総理によりますと、“日本人の金融資産は2000兆円”といわれているんですが、その半分以上が預金や現金で保有されているということです。この国民の預貯金を資産運用に誘導する新しい仕組みということで、『NISA(少額投資非課税制度)』の拡充などを挙げていますが、具体的にはこれからというところです。この『資産所得』という言葉ですが、働いて稼いだ、いわゆる、“給料”ではなくて、株式の売買や配当など、いわゆる、“資本を使って儲けたお金”ということなんです。したがって、預金や現金を投資などにまわして、配当などで所得を増やしましょう。自己の労働ではなく、お金に稼いでもらおうということ。実際に日本は欧米に比べて預金などが多く、資産所得が増えていないということで、これは岸田総理が去年の自民党総裁選で掲げた『令和版所得倍増』を実現するための手段としてここで提示したたということでしょう。

 

 

『給与所得』の倍増ではなく、『資産所得』の倍増へと考えを変えた!?

『令和版所得倍増』は当初、『資産所得』ではなくて『給与所得』を想定していたようです。いわゆる、『新しい資本主義』は“分配”を考えていたはずで、当初は『金融所得課税』の引き上げも考えていました。つまり、金融で儲けた部分に課税をして、それを低・中所得層へ分配するといった内容でした。なので、分配を思考していたんですけれども、金融界などからの批判も多くて、今回も課税引き上げについては講演でも言及がありませんでした。なので、『分配をする資本主義』ではなくて、『投資によって経済成長』しましょうという方向で、岸田総理は「やるぞ!」というアピールする狙いがあったと思います。

 

経済成長できるなら、このプランは歓迎できると思うんですけれども、「その成長は誰にとっての成長なんだろうか?」という点は重要です。例えば、投資に手が回せるというのは、比較的、裕福であったりする層、あるいは、いろいろ手続きも大変なので、余裕がある層がするものなので、元々の格差の是正だったり、中間所得層の底上げになるかどうかはちょっと不透明だということも考えられるかなと思います。日本の生産性の低下は、ずっと問題になっていますが、そのようなときに、投資によって資産が増えても、根本的な解決策にはなってないのかなと思いますし、多くの一般の方にとっては、『給与所得』が注目点なので、この点を抜きにして、『所得倍増』という“引きのある大きな言葉”が出ている点には注意が必要なのかなと思います。本来なら生産性を上げるために国力の底上げをする中長期的な目線も必要かなと思います。